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生産管理 / MRP失敗事例

生産管理システムでMRPを選んで失敗するケースとは

「ERPを導入しよう」という流れの中で、受注生産の工場がMRP(資材所要量計算)方式のシステムを選んでしまい、現場に合わずに苦労するケースが後を絶ちません。MRPは見込み生産・繰り返し生産に最適化された方式で、受注ごとに仕様が変わる受注生産には根本的に合わない部分があります。本コラムでは、受注生産工場がMRPを選んで失敗する典型的なケースとその理由を解説します。

MRPとは何か

MRP(Material Requirements Planning=資材所要量計算)とは、生産計画と部品表(BOM)・在庫情報をもとに、「いつ・何を・いくつ手配すべきか」を自動計算する方式です。需要予測や生産計画が立てやすい見込み生産・繰り返し生産の量産工場で力を発揮します。

MRPは「ERP(基幹業務システム)」の中核機能として語られることが多く、「ERPを入れよう」という話が、いつの間にか「MRPシステムを入れよう」にすり替わってしまうことがあります。ここに受注生産工場の失敗の入口があります。

よくある勘違いの入口

「業務をシステム化したい(ERPを入れたい)」という漠然とした思いから検討を始め、ERP=MRPというイメージに引きずられて、受注生産に合わないMRP方式のシステムを選んでしまう。

失敗ケース①:在庫ありきの仕組みで在庫が過剰になる

MRPは「在庫情報をもとに必要数を計算する」=在庫ありきのシステムです。正確な在庫データと、メンテナンスされた品目マスタ・部品表があって初めて正しく動きます。

ところが、マスタのメンテナンスが追いつかないと、システムは「在庫が足りない」と誤判断して余分な手配を指示します。結果として、極力在庫を減らしたいのに、かえって在庫が過剰になるという本末転倒な状況が起こります。

状況MRPでの結果
品目マスタの在庫数が実態とずれている誤った所要量計算で過剰発注
マスタメンテナンスが追いつかない不要な部品まで手配指示が出る
在庫を減らしたい方針方針と逆に在庫が積み上がる
在庫削減が目的ならMRPは逆効果になりうる

在庫を極力減らしたい工場が、在庫ありきのMRPを選ぶと、マスタ精度の維持に膨大な手間がかかり、それを怠ると在庫過剰を招きます。目的と手段がミスマッチを起こしている典型例です。

失敗ケース②:「その都度部品」が品目マスタに登録できない

受注生産の工場では、図面に基づいてその注文限りで使う「その都度部品」が一定割合あります。工場によっては部品の30%程度がその都度部品ということも珍しくありません。

MRPは品目マスタに登録された部品を前提に動くため、マスタ登録されていない部品は計算できません。結果として、一度きりしか使わない部品でも、その都度マスタ登録をしなければシステムが使えないという状況になります。

その都度部品でMRPが破綻する流れ
  1. 受注ごとに新しい「その都度部品」が約30%発生する
  2. MRPは品目マスタにない部品を扱えない
  3. 一回きりしか使わない部品でも、その都度マスタ登録が必要になる
  4. マスタ登録の事務処理に膨大な時間がかかる
  5. 登録を省くとシステムが使えず、運用が形骸化する

失敗ケース③:マスタ登録の事務処理時間が膨らむ

失敗ケース②の結果として、本来は不要なはずのマスタ登録作業に大量の事務処理時間がかかるようになります。一回きりの部品のために、品番採番・名称登録・単価登録・部品表登録を毎回行うのは、受注生産の現場にとって大きな負担です。

作業MRPでの負担
その都度部品の品番採番毎回ルールに沿って採番が必要
品目マスタ登録一回きりの部品でも登録必須
部品表(BOM)登録受注ごとに構成を登録
登録データの管理使い捨てマスタが大量に蓄積

こうして「システムを使うための事務作業」が増え、本来削減したかった間接工数がかえって増えるという悪循環に陥ります。

なぜ受注生産には製番管理が合うのか

これらの失敗の根本原因は、受注生産に見込み生産向けのMRPを当てはめたことにあります。受注生産には、製番管理を軸にしたシステムが適しています。

項目MRP方式製番管理方式
前提在庫ありき・マスタありき受注(製番)ありき
その都度部品毎回マスタ登録が必要製番に紐づけて都度品として扱える
在庫の考え方共通在庫から所要量計算製番に引き当て・必要分だけ手配
在庫削減との相性マスタ精度に依存・過剰リスク受注分だけ手配で在庫を抑えやすい
事務処理の負担マスタ登録の負担が大きいその都度部品もスムーズに処理
製番管理なら「受注分だけ手配」で在庫を抑えられる

製番管理は受注(製番)を起点に必要な部品だけを手配するため、在庫ありきのMRPと違い、過剰在庫が起きにくい仕組みです。その都度部品も製番に紐づけて扱えるため、使い捨てのマスタ登録に追われることもありません。

製番管理でも共通部品は発注点管理で在庫補充できる

「製番管理は受注分だけ手配するなら、よく使う共通部品はどうするのか」という疑問を持たれる方もいます。実は、製番管理でも共通部品については発注点管理(在庫補充方式)を併用できる仕組みがあります。

配管材料・電気部品など、複数の製番で繰り返し使う共通部品は、製番ごとに都度手配するとかえって非効率です。こうした部品は発注点(在庫がこの数量まで減ったら発注する基準値)を設定しておき、必要分を自動で在庫補充することができます。

部品の種類適した管理方式手配の考え方
その都度部品(一品物)製番ひも付け手配受注(製番)ごとに必要分だけ手配
共通部品(繰り返し使用)発注点管理(在庫補充)発注点を下回ったら必要分を補充発注
製番ひも付けと発注点管理のハイブリッド

受注生産の現場では「製番ごとに手配する部品」と「在庫から使う共通部品」が混在します。製番管理を軸にしつつ、共通部品は発注点管理で在庫補充するハイブリッド運用ができれば、在庫を最小限に抑えながら欠品も防げます。MRPの「すべて在庫ありき」とは異なり、部品の性質に応じて最適な手配方式を使い分けられるのが強みです。

システム選びで失敗しないためのチェックリスト

受注生産工場のシステム選定チェックリスト
  • 「ERPを入れたい」が「MRPを入れる」にすり替わっていないか
  • 自社の生産形態は受注生産・多品種少量生産か(→製番管理が適する)
  • その都度部品の割合が高くないか(高ければMRPは不向き)
  • 在庫削減が目的なのに在庫ありきのシステムを選ぼうとしていないか
  • マスタメンテナンスの負担を継続できる体制があるか
  • デモやトライアルで自社の「その都度部品」を実際に処理してみたか

まとめ|目的と生産形態に合った方式を選ぶ

MRPは見込み生産・繰り返し生産には優れた方式ですが、受注生産・多品種少量生産・その都度部品が多い工場には根本的に合わないことがあります。「ERP」という言葉のイメージに引きずられてMRPを選ぶと、在庫過剰・マスタ登録の事務負担・運用の形骸化といった失敗につながります。

Previsionは製番管理を中核に設計された受注生産専門の生産管理システムです。その都度部品も無理なく扱え、受注分だけの手配で在庫を抑えられます。1ヶ月無料貸出サービスで、自社の「その都度部品」が実際にどう処理できるかをお試しいただけます。資料請求・デモのご依頼はお気軽にお問い合わせください。

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